2008年の「金融危機」について

この動画の8分位から、ドイチェ銀行への1兆円を超える罰金について語られています。

うーん、金融機関に勤めていますが、未だに「1兆円」の罰金とかいう、その規模の大きさが理解できませんっ(汗!)

 

1億円でもわたしにとっては、いまだにけっこう大きいのですが、それの1000倍。

またしても「負の連鎖」が始まってしまうのか…


 

世界の大企業、巨額な罰金事例20選

興味のある方は、このサイトのスライドをめくってみてください。金融機関だけでなく、世界の大企業での事例が載っています。

そのなかでもやはり「1兆円」というのはかなり大きな方ですよね。 でも、三橋さん「それでもまだ少ない」と。。。 じゃあ、どんだけ悪どいことをし続けてきたんだ「ドイチェ銀行」!って話です。

 

さらに恐ろしいのは、ゴールドマン・サックスのほうが罪が重いのに、罰を逃れているそうですね。 ちょっと暗澹としてきました。

 

マイケル・ムーア「キャピタリズム」では、サブプライムローンの影響で苦しんでいる人々が詳細に取り上げられていて、非常に興味深い作品なのですが、「悪魔のデリバティブ」という本を読んでみると、マイケル・ムーアの主張する「金融クーデター」というのはさすがにおかしいということがわかってきます。

 

たしかに、その本でもゴールドマン・サックスがギリシャのユーロ加盟にあたって、「スワップ」(デリバティブの一種)による貸付で大きな利益をあげ、ギリシャも表面上は借金が増えていないように見せて、ユーロに加盟したいきさつが書かれています。が、サブタイトル「怪物化する金融商品に取り憑かれた男たち」からも分かるように、ごく一部の金融機関の幹部がグルになって、すべてを仕組んだような「陰謀論」に人々は飛びついてしまいますが、マイケル・ムーアの言う「金融クーデター」というのも、その一つの呼び名ですが、世の中すべて「バタフライ・エフェクト」、そんなにうまく計算して仕組むことなどできません。

 

とくに東欧系やインド系の、地域全体が貧しくて遅れている地域出身のものの中に、尋常ではないほどに「勝ちたがる」人間がいて、そんな男たちがデリバティブに目をつけて、あたかもゲームを楽しむかのように、どんどん商品を複雑にしていき、それによって給料が上がり、表彰される、そしてそのことに無上の快感を覚える人間はさらにエスカレートしていくという具合です。

本の中でも、強調されていることですが、それらの男たちはすでに莫大な報酬を手に入れると確定した後であっても、「賞」を取れるかどうかに執拗にこだわる様が描かれています。単に、金額で片付けられる感情ではなくもっと深い「勝利への欲望」だというわけです。

 

金融機関というのは、基本的には保守的で「リスクを嫌う」体質なのです。リスクを遠ざけるためなら、新しい技術などできる限り取り入れたがりません。しかし、貧しい地域からやってきた若者たちがどんどん新しい商品で利益を上げ始めると、さすがに存続に関わってくるため、その新しいものを取り入れざるを得なくなるのです。なんだか「核武装」の構造とも似ているような気がしてきました…

 

そもそもなぜギリシャはユーロに加盟できたのか?

 

ギリシャのユーロ加盟からわずかな年月の間にも、そのような目まぐるしい競争の中で、気がつけば、あれほど有害な商品が世界中に出回ってしまったというわけです。

 

ちなみに、わたしが働いている外資系金融機関の部長が或る時、ふと「リーマン・ショック」のことを振り返って、ちょっとした世間話をしたことがあった。 アメリカのけっこうエラい人が来日して、タウンホール(社内の講演会のようなもの)を開いて「うちは大丈夫ですから、安心してください」と語ったのに、調査が進むと、うちもかなり有毒な商品に冒されていたことが分かって、しばらくは節約、節約という息苦しい時期が続いたと言っていました。 まさにわたしが言いたいのはそういうことなんですよ。 そのおエラがたがほんとに知らなくて嘘を語ったのか? いや、おそらくほんとに知らなかったんだと思います。 そのクラスのおエラがただって、世界中の大きな金融機関すべてで合計したら、けっこうな人数になります。そのおエラがたがこっそりどこかで会って、その一部の人間だけが儲かるように打ち合わせて、世界中を手球に取ったなんてことは絶対にないんですよ。

 

同時多発テロのときにも、「陰謀論」はかなり盛り上がりましたよね。 でも、あのときも政府の関連機関で働いているおエラがたがこんなことを言っていました。 各機関はそれぞれお互いに監視しあっていて(足を引っ張り合っているようにも見える)、それらすべての機関が連携して合意しない限り、政府が仕組んであんな大規模なテロを行うなんてできるわけがない、と。 

 

FBIと地元の警察がモメたり、CIAとFBIとDEAなどなどがそれぞれに捜査を進めていて、情報が共有されていないというムダがあったり。でも、それは機密保持とか、法的なプロトコロ(取り決め)とか、そういうものをあとで突かれないように細心の注意を払って遵守している結果なんですよね。 実際そういうのを守るのって、ほんとに現場ではかなり面倒くさいと思いますよ。

 

そういう真面目な捜査官の中には、ちょっと空気が読めないくらいに正義感の強いヤツがいたりして、それもまたよく映画とかドラマになりますけど、飛行機のハイジャックを企んで、それをビルにぶつけようなんて計画、どこかでぜったいバレるはずなのに、不思議と大衆はそういう陰謀論が大好きなんですよね。 おそらく、チープな刑事ものばかりを見ていると、「利益を得たヤツが犯人だ」というような単純なストーリーしか理解できなくなってしまうんだと思います。

 

その点では、アメリカのドラマ「House of Cards」と「The Wire」はおすすめです。

たとえば、「House of Cards」を見ていれば分かりますが、政治家といえど、どんなに長くやっていてランクが高くても、日々、想定外のことに悩まされるものです。しかし、しぶとく生き残っていく政治家、ドラマの中では一度も選挙を経ずに大統領にまで上り詰めたフランク・アンダーウッドのようなクセモノになると、その想定外のできごとをどれだけうまく利用できるかという計算、あるいは、それを実行するためには倫理的なたががまったく外れた決断を次々に繰り出していく、図太さがあるのです。

「The Wire」ではシーズン3かシーズン4あたりにその生臭いやりとりが克明に描かれています。

 

個人的には、ニコラス・ケイジ主演の「ロード・オブ・ウォー」という映画がすごく好きなのですが、主人公のユーリは若い頃に銃撃戦に巻き込まれて、死ぬかも知れないという恐怖を味わったのがきっかけで、武器商人になることを決めました。 「武器」というのは、そもそも人を殺すために作られたもので、それを売るというのは「邪悪」なことです。 しかし、そういう大きなトラウマになるような体験をした人間が、防衛本能から、「むしろそれを自分のものにして、商売にしてしまえばいい」と考えたのだとしたら、それを責めることはなかなか難しいです。

 

実際、彼から武器を買う人間も、おそろしく邪悪な人間もいますが、やはり自分の身を守りたいからという人が大半です。

「武器」といっても、それを「守り」に使うのか「攻め」に使うのかで、だいぶ意味が違ってくるような、それは表裏一体のことのような…

 

以下、ネタバレ。

まあ、このサイトは映画をテーマとしたものではないので、遠慮無く結末を書いちゃいますが、彼を長年追ってきたFBI捜査官に捕まったときの会話が非常に印象的です。 たぶん、こうして内容を知っていたとしても、ニコラス・ケイジの演技とともに見れば、分かっていてもシビれるでしょう。

 

「たしかに、わたしが売った武器で人が毎日たくさん殺されていて、わたしのことを極悪人のようにあなたは言いますが、わたしの最大のお客様はだれでもない、アメリカ合衆国大統領なんですよ」と。

そして、新聞を指さしながら、世界中で起こっている紛争について、「敵の敵は味方なんですよ、ただアメリカが表立って支援できないようなこういう小さな紛争なんかでは、わたしのようなフリーランサーに声がかかるわけです。必要悪なんですよ」

 

ふー、みなさん、駆け足でいろんなことを書いてしまって、脳がぐちゃぐちゃになってしまった方も多いのではないでしょうか。

もし、整理がついてきたら、「北朝鮮の核問題」についても、なにが「必要悪」なのかを踏まえた上で考えてみましょう…